2013/05/20

Best 10 Songs By The Killers


ついにキラーズが来日する。多くのファンが一度は諦めかけた夢が、やっと叶いかけている。「Day & Age」のツアーのタイミングで2回続けて来日公演がキャンセルになり、そのあとあまりに素晴らしい内容のライヴアルバムがリリースされて、現地のファンに対する激しい嫉妬を感じていた人も少なくないはずだ。僕たちは最高のタイミングを逃してしまった。日本では欧米の何分の1くらいの人気しかないから、もう2度と日本でライヴを観ることはできないだろうな、とまで思っていた。

新作の「Day & Age」の出来には賛否両論あるが、彼らのライヴは間違いない。今年ブラジルで開催されたロラパルーザでは、彼らがステージに登場した瞬間、代表曲の「Mr. Brightside」のイントロが流れ始めた。そう、彼らのいまのソングブックは分厚く、充実しまくっている。かつて「キャリアも浅いし、そもそも演奏する曲がそんなにないから」という理由でグラストンベリーのヘッドライナーを辞退した彼らだが、いまのキラーズなら違うセットリストで3回ライヴをやったとしても、文句なしにすべて楽しめるはずだ。

日本でもメジャーバンドに違いないが、セカンド以降のキャリアをきちんと追っているファンとなると、ぐっと数が減ってしまう。もはや、「キーボードやシンセサイザーを多用した口ずさみやすいニューウェイヴサウンドを壮大に鳴らす4ピースバンド(ウィキペディアより抜粋)」というだけでは到底説明し切れない、ビザールなバンドなのだ。

今回はそんなキラーズのキャリアでもっとも素晴らしい10曲をリストアップした。彼らにはやっぱり世界一の称号が相応しい。

No.1 「Human

この曲はキラーズにとってのベストソングであるばかりか、スチュワート・プライスにとってもおそらく生涯ベストワークのひとつであるはずだ。セカンドでアメリカンロックにシフトして多くのファンを失った彼らが、突破口を見出すきっかけとなった4つ打ちのシンプルなエレクトロナンバー。何より素晴らしいのは、ギターのデイヴィッドが「Mr. Brightside」以来となる傑作ギターリフを生み出したこと。そして、当時トレンドだったスチュワート・プライスによる浮遊感と疾走感に重きを置いたサウンドプロダクション。キラーズはこの曲で、彼らの時代が到来したことを世界に向けて高々と宣言した。



ファーストのヒットが長く続き、余韻冷めやらぬうちに発表されたこのシングルへの反響は凄まじかった。よりギターを前面に打ち出したサウンドは、彼らが新たなステージに足を踏み入れたことを予感させたし、ストーリー仕立てのミュージックビデオも話題になった。いまでもライヴのアンコールではこの曲が演奏される。じつは彼らのアイデンティティのほとんどは、この曲のなかにあるんじゃないかという気がする。


No.3 「Mr. Brightside

大柄な無名ギタリストがテープに吹き込んだあるフレーズが、ほどなくして世界を狂乱の渦に巻き込むことになる。彼にとって、ブルース・スプリングティーンとルー・リードの歌い方に影響を受けたハンサムなヴォーカリストと出会えたこともまた、奇跡だった。



この曲ではブランドンの代わりにシンセサイザーが歌い上げる。


N0.5 「The Way It Was

新時代のAOR。キラーズはサード以降、ソフトでメランコリックなサウンドを何度か試みてきたが、最初の傑作といえる名曲が最新作に収録されている。それにしても、デイヴィッドのギターが生み出すフレーズは魔法以外の何ものでもないね。



彼らと同時期にデビューしたどのバンドも、この曲が書けなかった。何万人という大衆をひとつにする「Don't Look Back In Anger」級のアンセムが。「I got soul but i'm not a soldier」というリリックも、もうU2に引退してもらわなくては困るほど、ヒロイックに響いた。


No.7 「Losing Touch

これは傑作でしょう。サードの冒頭を飾るミドルナンバー。当時このサックスにはぶったまげた。正直ダサいと思っていた。だが、彼らがサードアルバムで成し遂げた最大の功績は、ポップソングの価値観を押し広げ、サックスさえも大胆に取り入れたことだ。これ以降、インディーでもメジャーでも、あちこちからサックスの音色が聞こえてくるようになった。まあ、キラーズだけがきっかけじゃないと思うけどさ、彼らはけっこう早い段階でやっていたんだよ、ということ。


No.8 「Somebody Told Me

ブランドンがゲイ疑惑を持たれていたなんて、いまの男臭いイメージからは想像もつかないが、たしかにあの頃は化粧もしていたもんね。リリックは常にリスナーの想像力で補って完成する、というのがポップソングの醍醐味だが、この曲では“ガールフレンド”と“ボーイフレンド”とを同義にすることで、恋愛関係の複雑さを見事に表現している。しかも、「おれにはそのポテンシャルがあるんだ」という一言でコーラスは締めくくられる。何なんだこれは。


No.9 「Read My Mind

この曲の分かりやすくキャッチーなサウンドは、マッチョなセカンドのなかでも異彩を放っていた。「Change Your Mind」パート2のような(タイトルも)、聴いていて安心するキラーズ・スタンダード。



あまりに希望が少なすぎる世界のなかで、キッズは「インディロックンロール、それこそ僕たちが求めているものだ」と叫んだ。すべてはここから始まったが、キラーズはいまでもこのタイトルを体現している。

2013/05/11

Smith Westerns


イントロが耳に飛び込んできた瞬間、フィル・スペクターが「お前たちのために曲を書いたぞ。施設はクソだけど、おれはまだまだ落ちぶれちゃいないんだぜ」なんて言いながら、バンドのメンバーに楽譜を渡している光景が浮かんでしまうくらいに、スミス・ウェスタンズの新曲「Varsity」が素晴らしい!

Smith Westerns 「Varsity」