2013/06/15

Best 25 Songs of 2013 So Far


これは誰でも知っていることだけど、いま音楽を作る行為は簡略化され、それを聴くための、あらゆる“無料の”手段が存在している。だから、音楽に感情を取り戻すためにダフト・パンクは生音で70年代ディスコをやり、結果世界中で大ヒットを飛ばした。一方でソウルを電子音に注入したディスクロージャーもまた、イギリスで新たなヒーローになりつつある。

いまの状況はまさにカオスだ。とてもじゃないが、一人の人間にすべての音楽を追うことなどできない。下らない音楽なら聴かなくても良いかもしれないけれど、聴くべき音楽でも、まだ名前すら知らないアーティストやバンドがいるかと思うと、もどかしい気持ちになる。

たとえば「HUgE」の音楽特集を読めば、いまアメリカやイギリスのインディーシーンで起こっているクールな出来事を知ることはできる。どこに出しても恥ずかしくないラインナップのインタビューが掲載されている。オーケー、でも音楽って、そんなにお洒落で、クールで、脳みそが必要なものだったっけ? もうすこし享楽的な気分で楽しみたいと思わない? あるいは、バンド少年のような純粋な気持ちでギターの音色にうっとりしてみたいよね。わたしがこの半年でもっとも聴いた曲のうち何曲かは、メジャーなCMにだって使われるような代物だ。常に先鋭的である必要はない。人間として、正しい場所にいる必要もない。良いかい、誰かみたいになろうとしたって、結局は楽しくなくちゃ意味なんかないんだぜ。マイルズ・ケインはこう歌っている。

 おれはお前のスタイルが好きなんだ、お前はおれを笑顔にさせてくれる
 自分自身を見失うなよ

 そうだ、これだけ音楽が溢れていて、オリジナルやクールの定義がひとつであるわけがないんだ。

 「howtodancewithyou」が選ぶ2013年前半のベストソングはこれだ。

 No.1 Swim Deep 「She Changes The Weather


静寂を抜けて駆け出す瞬間の、解き放たれるようなこのフィーリング。ピアノの旋律の後ろでかすかに聞こえる話し声と、ノスタルジックなギターが、この曲に哀愁を漂わせている。デビューしてからいくつも名曲を公開してきた彼らが、いよいよ決定打となるバラッドをつくった。

彼女は僕の心の天気をガラリを変えてしまう
二人でいるときは、永遠に若くいられるみたいなんだ

何もかもが素直で爽やかで、僕はこんなバンドが出てくる度に恋に落ちている。


No.2 These New Puritans 「Fragment Two

ホラーズ以上のスピードで進化し続け、厳かでありながらそこに祝祭性を感じずにはいられない傑作サード・アルバムを今年リリースしたジーズ・ニュー・ピューリタンズ。それはまるで秘境の地で代々伝わる踊りのように、十分不気味なのに救いを見出してしまう。ただ陰鬱にしか聴こえないレディオヘッドの近作よりも、僕には断然こちらのほうが心に響く。


No.3 Dumb 「Dive

パーマ・ヴァイオレッツの「Best Of Friends」に並ぶ若者のためのギターアンセム。ギミックなし。


No.4 Tegan and Sara 「Closer

「A little bit closer ~」のしゃくりあげるところがツボすぎてもう・・・もちろんそれだけじゃないです。リトル・ブーツもそうだけど、ベッドルームにぴったりのエレポップって最近すごく気分で、小宇宙で頭を振り回す感覚が病みつきになる。


No.5 !!! 「One Girl/One Boy

この曲を歌うときは君のことだけ考えて歌っている。そのサウンドが世界のムードと一体化して、オーディエンスを熱狂させる。そう、新たなクラブ・アンセムの誕生だ。たとえファレル・ウィリアムスを引っ張りだしてきたからって、!!!には敵わないよ。


No.6 The Strokes 「All The Time

「Happy Ending」というタイトルの曲をアルバム後半に忍ばせ、解散の噂まで流れた彼らだが、逆にいうとそのくらい新作の雰囲気は吹っ切れていた。これまでの総括のようなこの曲も、だからこそ涙を誘う。2010年代の音楽特集に彼らの名前など出るわけもないだろうと思っていたが、やはり出なかった。だが、ラップトップで作った音楽に夢中になって彼らの新作を聴き逃しているとしたら、それはただのアホだ。


No.7 Phoenix 「Entertainment

今年、とにかく売れに売れているフェニックス。なかでもこの曲のイントロにはもはや食傷気味になっている人だって少なくないはずだ。ちょうどコールドプレイがお茶の間レベルでメジャーになったときにように。だけどやっぱり名曲だから、どうかあなたのソングブックから外さないで。一緒に彼らが大成功する瞬間を見届けよう。


No.8 Childhood 「Solemn Skies

サウンドもセピア色ならミュージック・ビデオもセピア色。昨年「Blue Velvet」という大名曲でシーンを騒がせた彼らだが、つい先日発表された新曲も期待通りの出来。一番ゾクゾクするコーラスまで時間がかかるのが彼らの楽曲の特徴だ。


No.9 Unknown Mortal Orchestra 「So Good At Being In Trouble

てか彼らの新作、超傑作だよね、あんまり話題になっていないようだし、僕もあんまり言ってないけど。新時代ソウルの真髄はこの曲にある。何たってこの曲の歌詞は“彼女はトラブルまみれのほうが合っているんだ、誰かに愛されているときは不調”だって。まさにソウルに相応しい。


No.10 BUTTERCLOCK 「Holograms

最近よくファッション雑誌にも登場するグライムスちゃん、可愛いし、センス良いし、なんて思っていたら、「DUMMY」でも激プッシュ中のバタークロックも可愛くてセンスが良い。僕は彼女の音のほうが好きかも。ちょっと破滅願望が見え隠れ?する刹那的な雰囲気が中毒になる。


No.11 Disclosure 「You & Me

デビューから早くも名曲量産。正直このランキングにも5曲くらい入る勢いだけど、僕は「You & Me」に一票を投じた。個人的なナイトライフへの羨望の眼差しが、余計この曲への思い入れを強くさせる。


No.12 Savages 「She Will

彼女たちが「HUgE」のインタビューで「女性にしかできないこととか、女性にしか理解できないことには、まったく興味がない」と話していて、痺れました。ちなみにデビュー作は今年1番の名盤。

No.13 Dizzee Rascal 「Goin' Crazy ft. Robbie Williams

相変わらずとことん無意味。だけど、ディジーはPSYが成し遂げた奇跡をその前からずっと継続している偉人だ。「Candy」で再び時代の気分を引き寄せたロビー先輩をこのタイミングで呼んだのも大正解。

No.14 Miles Kane 「Don't Forget Who You Are

No.15 Vampire Weekend 「Diane Young

No.16 The 1975 「The City

No.17 Night Beds 「Romana

No.18 Suede 「It Starts And Ends With You

No.19 Tegan and Sara 「I Was A Fool

No.20 Elephant 「Skyscraper

ロンドンで結成された男女二人組によるドリーム・ポップ・バンド。ビーチ・ハウスを聴いていればそれで良いじゃないか、と思うかもしれない。たしかに。だけど、彼女たちが描くサウンドスケープも十分に素晴らしい。ビーチ・ハウスよりはBGM然としているところが逆に良い。意外にこれがハマるよ。

No.21 One Direction 「One Way Or Another

No.22 Peace 「Love Sick

No.23 Charlie Boyer and The Voyeurs 「Things We Be

No.24 Jagwar Ma 「Man I Need

No.25 Rilo Kiley 「Let Me Back In

これまでのレア音源を集めてアルバムをリリースしたライロ・カイリー、先行シングルとしてビデオも公開されたこの曲は、シンプルなアコースティックの旋律とジェニーの“泣き”のヴォーカルが切ない。

次点 Mikal Cronin 「Shout It Out

最近、たまたま発見したパワーポップの原石。

Grouplove


ギター2本が取り上げられ、手ぶらになったヴォーカリストとドラムマシーンの前に立つギタリスト。あれ、いつもタイツ姿も変態ドラマーは?キーボードの前に座っているよ。ファーストアルバムなら1曲もまともに演奏できそうにないこのフォーメーション。どうやら彼らは発想をガラリと変えてみたようだ。わたしはグループラブのファーストアルバムをその年の(断トツの)ベストアルバムに選出した際に、その音楽の爆発力と開放感を絶賛したが、もうこんなアルバムは作れないだろう、とも書いた。彼らも、ただファーストの曲をさらにソフィスティケートさせてセカンドにまとめてしまおうなんて、まったく考えていなかったのだ。ギターの音なんてなくても、グループラブのサウンドから発せられる全能感に陰りは一切見られない。むしろ、従来のロックバンドにあるべきギターを抜かしてもなお、こんなにも普遍的なポップナンバーを書けてしまうということは、彼らはほんとうに何でもできてしまうということだ。

ただ、電子音をメインに据えたサウンドであっても、ヴォーカリスト2人の個性が強烈すぎて、ファーストとの明確な変化に気付かない。これは紛れもなくグループラブの新曲。よく「最初イントロが流れてきたときには●●の新曲だと分からなかった」という書き方で、そのサウンドの変化の大きさを表現することがあるけれど、「Way To Go」はすぐに分かる。だけど、編成は大きく変えてみた。何と自由な。これって、子供のころに憧れる理想のバンド像じゃないか。ギタリストはじつはドラムもできて、ドラマーはじつはキーボードも弾けて、ベーシストは前に出ればそのサウンドの核となるようなフレーズをバンバン生み出す、みたいな。

新作のリリースは9月。夏は彼らの新作なしで過ごさなきゃいけないのか、と思うとちょっとしょげてしまうけれど、それまでは「Way To Go」のリリックを全部覚えて、部屋で野外で、歌いまくろうよ。


2013/06/04

Surfer Blood


最近、オシャレでシリアスでクールでクレバーじゃないといけない雰囲気があるじゃないですか。これ、音楽の話です。もちろん服装もですが。ラップを刻んでリズムを再構築とか、もはやよく分からないけど、イケてるコミュニティの一員でいるためにはそういうのも分かっておかないといけないんですかね。コミュニティって、あほらしいけど、いまトレンドの“細分化”って、コミュニティの単位が小さくなるだけで、むしろ閉鎖性は増すばかりですからね。ああ、吐きそう。常に誰かが誰かを出し抜こうとしている世界ですよ。Facebookでは休日なのに分刻みで行動するのが偉いらしいです。仕事は効率良く。運動もしなきゃ。レストランのマナーだって知っていなけりゃ大人とは言えない。インディーミュージックもいつのまにかそういうライフスタイル提案のひとつに成り下がったんでしょうか。もちろん、そんなことはないです。でも、万が一音楽もファッションになってしまうと、これほどつまらないことはないですね。音楽はいつまでたっても音楽でいてほしいです。

というわけで、海辺と夕暮れとラジカセと女の子だけでオールライトな世界を再び思い起こさせてくれるグッド・ミュージックがまたもや西海岸から届けられました。これはシリアスに聴く必要はないと思います。アンチ・偏差値ミュージック。それではどうぞ。サーファー・ブラッドで「Pythons

2013/06/03

Trying To Be Cool - Breakbot Remix


ダフト・パンクの新譜の空前の大ヒットにより、再び時代の音となったディスコ・サウンド。リミックスもいまはこういうのが気分。同じフランス出身で相性も抜群だ。あ、ダフト・パンクは今回入った莫大な印税の何割かを、いまの状況をお膳立てしてくれたブレイクボットにも払う必要があると思わない?
Trying To Be Cool - Breakbot Remix(DL可)